第13回 田中遊子さん(新潟市、旧新津市)

高校卒業後、留学のために渡米して以来、ずっとアメリカで暮らしてい ます。カンザス州に2年弱、サンフランシスコに9年、ニューヨークに移って丸8年になります。ニューヨークは何でも出来る街、まさに「意志あるところに道 あり」。でも、あまり欲張って視界が曇ってしまわないよう、「神は細部に宿る」を肝に銘じています。

通算約10年、フリーランスのライターとして、取材執筆、翻訳、通訳 をしてきました。数年前、「文章書けるのなら、うちの広報手伝ってくれない?」と持ちかけられたことがきっかけとなり、現在は、コピーライティングや、メ ルマガ、ブログ、パンフレットなどの、「言葉ツール」のコンサルティングも手がけています。

3月の震災直後、言葉に携わる者として何か出来ないかと考え、すぐに思いついたのが、地元の人らから励ましや祈りのメッセージを集めることでした。まずは 実験的にと、募金活動の傍ら、道行く人に手書きのメッセージをお願いしたところ、多くの人が快く応じてくれました。「早く事態がおさまるように」と、びっ しり書き込む人、「スペイン語でもいい?」と祈りの言葉を綴る人。「必ずしも皆が気前良くお金を出せるとは限らない。でも、気に留めているニューヨーカー がいることを伝えられれば」と思い立ち、4月のはじめに、「日本の被災者に手書きのメッセージを」と、ファックスやメールで市内の学校約500校に呼びか けました。我が子2人が通う小学校では、すでにプロジェクトとして採用され、他からは、「姉がフクシマに住んでいるので、人ごとではない。校長にかけあっ てみる」という返信もありました。いくつメッセージが集まるか、どういう形でより多くの被災者に届けるか、現在思案中です。今後も、言葉をライフワークに していくつもりです。いつか、鉛筆を握って肉筆で綴ることを軸にした、教育プロジェクトなんか企画出来たら嬉しいですね。

http://yukotanaka.weebly.com/

記事: 新潟日報グローバルにいがた